Youtubeのお勧め動画に出たのがこの製品を知るきっかけでした。何度も動画を見直し、1年以上気になり続けていた南部鉄器製のディスクスタビライザーを満を持して(退職記念という言い訳で)入手しました。今回は及富さんの実店舗で実物を触り、丁寧な説明を聞き納得した上での購入です。
アップで見ると抜群の存在感があります。写真に撮ると古代遺跡から出た謎の物体(オーパーツ)さながらです。
パッケージは南部鉄器製品そのものといった質実剛健な印象で、オーディオ機器にありがちな豪華ケースや余計な装飾が無いのが好印象です。岩手の伝統工芸を応援する意味でも良い買い物でした。
紙箱から取り出すと細かな折り目が付けられた丁寧な包装が現れます。上のシールを剥がすのがもったいないくらい。しばらく見惚れていました。
包装紙を外すとスタビライザー本体が現れます。一見普通の鉄鋳物に見えますが、実は鋳物を精密加工した上で南部鉄器らしい表面仕上げをした製品で非常に手間がかかっているそうです。写真のように持ち上げる時に指が滑らないようローレット加工が施されています。
自宅のレコードプレーヤー(今はターンテーブルというのかな?)で実際に使ってみました。鉄鋳物のオーディオ製品としてはタオックが有名ですが、この製品も似たような音質改善効果が期待出来ます。また、この製品はかなり高価ではありますが、同等品を既存の有名オーディオメーカーが売り出したと仮定したら倍以上の値付けになっても不思議ではありません。
上の写真は今回のスタビライザーとは関係ない画像です。ヤフオクで落札した古いシュアー社の比較的安価なクラスのカートリッジ(J44D)に日本製のカスタム交換針を取り付けて使っています。針カバーに「MORITA」と書かれてますが、これはJICO社の森田名人が手作業で「牛殺(USHIKOROSHI)」という木材から極細スタイラスを削り出し、先端にダイヤ針を埋め込んだ逸品です。図太い音が特徴で、ちょっと古いジャズ、ロックの再生にはベストの組み合わせだと思います。職人さんの手仕事つながりという事で紹介しました。
実際の使用風景です。鉄とレコードの色が自然に馴染みます。実用面では直径がラベル面の半分ほどと小型のため、片面終了時にスタビライザー外周がカートリッジボディと干渉する心配も無用です。スペック的にも重さが540グラムと重すぎず軽すぎず、プラッター軸受への負荷も許容範囲内だと思います。手で弾いても余計な響きが無く、かといってゴム系素材のように音が吸収される感じもありません。このプレーヤーは低域が出る方向のシステム構成ですが、スタビライザー使用時は重低音域の響きが整理され、高音域が滑らかに変化するように感じられました。
レコードと接するスタビライザー裏面には滑り止め、保護シール等は一切無いためラック等に置く際には棚板を傷つけないよう布製コースターを敷きます。
使用時の注意点ですが、レコードを回転させたまま本製品を載せるとラベル面が擦れる音がします。気になる人はターンテーブルを止めてから載せることをお勧めします。要望点としては、気をつけないと載せる際にターンテーブルのセンタースピンドル先端と擦れてしまうため、穴の縁をもう少し広く(1mmぐらいかな)面取りしてあると良いのかな〜・・と思いました。ただし、この点については考慮の上であえてこの形状にしたのかもしれません。
及富の皆様へ
当日は長時間お話を伺うことができ、とても楽しかったです。これからもオーディオに限らず岩手の伝統技術を活用した素晴らしい製品群が続々と世に出る事を期待します。
おまけ:ディスクスタビライザーには100均のプラケースがシンデレラフィットでした。底面の径があつらえたようにピッタリで、がたつきもありません。超お勧めです(元箱に入れりゃいいじゃんというツッコミは無しで)。そのうちウォールナットの小箱でも探そうかな。
9/9追記:注文していた桐箱が届いたので合わせてみました。結果はジャストフィット!
元箱のパッケージに貼られていたステッカーを桐箱に貼りました。まあまあ綺麗に仕上がって良かったです。
こんな感じで箱を上下逆にして使います。箱を持ち上げるとスタビライザーの重みで蓋部分はそのまま動きません。蓋の中には元箱に付いていた薄いクッションシートを敷きました。南部鉄器の本製品に相応しい収納ケースが出来上がりです。